茶道の道具で必須な帛紗(ふくさ)の役割や使い方を解説!
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茶道で使う「ふくさ」とは?

そもそも「ふくさ」って何?と思われた方も多いのではないでしょうか?
まずは、「ふくさ」とはどういうものなのか、そして茶道における道具としてのふくさの役割を解説していきます。

茶道の「ふくさ」いろいろ

初めて「ふくさ」という言葉を耳にされた方も多いのではないでしょうか?
「ふくさ」は、「帛紗」、「服紗」または「袱紗」という漢字で表される、小さな絹布のことです。

 

「袱紗」という文字で書かれたものを多く目にしますが、この「ふくさ」は進物の上に掛かけたり包んだりするためのものです。冠婚葬祭の場で、お祝いの品や金封袋を包んでお渡しする際に使われるもので、小さな風呂敷のようなものやブックカバーのように中身を挟んで使うものもあります。

 

茶道で使う「ふくさ」とはその大きさや用途が異なりますので、初めて茶道を習う方が「ふくさ」を購入される際には、気をつけてくださいね。

 

茶道で用いる「ふくさ」は、「帛紗」または「服紗」という漢字で表されます。ここでは、「帛紗」という文字で統一して説明します。

 

「帛紗」は、茶道具の中ではあまり目立たない小さな絹布ですが、その役割はとても大きく、なくてはならないものです。主に三種類あり、流派や用途によって使い分けられます。

以下がその3種類。

使い帛紗

お茶を点てる時に棗や茶杓などの道具を清めたり、茶道具を拝見する際に道具の下に敷いて使います。

サイズは約27x28cmの方形。

ちなみに、表千家では女子は朱色、男子や年配の方は紫色の帛紗を用います。

裏千家では、色や柄など比較的自由に帛紗を選べるようです。

 

素材は絹ですが、最近はお稽古用に化繊でできた安価なものも売られています。しかし、やはり正式なものは絹物の帛紗と言えるでしょう。

 

出し帛紗と古帛紗

出し帛紗と古帛紗は「濃茶」点前の時のみに使われるものです。

濃茶の入った茶碗に添えられてお客様に出されますので、受け取ったお客様はこの帛紗の上に茶碗を載せて濃茶をいただいたり、茶碗を拝見する際にその茶碗の下に敷いて使います。

出し帛紗は使い帛紗と同サイズ。

古帛紗は約15x16cmと、少し小さいサイズの帛紗です。

 

織りや染めなど色柄は様々で、古代裂、名物裂と呼ばれるような由緒ある裂地が使われます。

出し帛紗は表千家で使われ、古帛紗は裏千家の茶道で使われるものとなります。

 

茶道を習い始めの初心者の方は、まずは使い帛紗を用意するだけで大丈夫です。

出し帛紗や古帛紗を使う濃茶を習うまでは時間がかかりますし、お客様稽古をする際にそれらの帛紗は必要ありません。

初めて使い帛紗を購入する時は、教室の先生や先輩方にまずお伺いし、茶道具店でも流派を伝え相談することをお薦めします。

 

 

 

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帛紗の役割

茶道における帛紗の役割は、大きく「清める」、「包む」、「添える」に分けられます。

帛紗で清める

薄茶や濃茶の点前が始まると、まず最初に道具を清めることをします。

使い帛紗で棗の蓋の上を拭いたり、茶杓の全体を拭き清めます。

 

また、点前の最後に使い終わった茶杓を清めるためにも使用します。

 

帛紗で包む

「包む」場合は、流派にもよりますが、たとえば表千家では、普段は薄茶を入れて使っている棗を帛紗で包んで「濃茶入れ」にすることがあります。

これは、本来、「仕覆」という絹の袋に濃茶器を入れるところを、朱や紫の帛紗で包んで行う略式の方法といえます。

 

 

帛紗を添える

「添える」ために使われるのは、主に出し帛紗と古帛紗です。
お茶碗など大切な道具に添えて、お茶をいただく際や拝見の時にお客様に使っていただきます。

また、お茶会のお祝いなど熨斗袋を朱や紫の帛紗の上に載せて、お渡しすることもあります。

これは、お盆の代りに袱紗の上に載せるという意味で用いられ、略式の礼儀となります。

朱や紫の帛紗は使い帛紗と同じものではなく、きれいなものを別に用意しておくのがよいでしょう。

 

 

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帛紗の扱い方

ここでは帛紗の取り扱いと、お点前の際に行われる帛紗の大切な所作、「帛紗捌き」について説明します。

帛紗の携帯方法

帛紗はお点前をする際、また、水屋に入ってお稽古や茶会の準備をする際、常に帯の左側に挟み込んで着用します。

お稽古場でお客様稽古をする際や茶会に招かれた時には、着物の懐に懐紙と共に小さく畳んで入れておきます。

 

帛紗捌きとは

そして、点前中の帛紗の扱いで一番難しく見えるのは、道具を清める際の「帛紗捌き」と言えるでしょう。

 

「帛紗捌き」とは、文字通り、方形の帛紗を手の平に収まるほどの大きさに捌いて折って畳んでという一連の所作ですが、茶道を習い始めの時に必ず先生から教わる事の一つです。

美しい流れで進む「帛紗捌き」は、点前中の見所の一つとも言えます。

 

「帛紗捌き」は、流派によって微妙にその所作が異なります。

帯に挟み込む場所ひとつとっても、刀を差す場所であった左側は避け、右側につける武家が由来の流派もあるようです。

 

茶道の三千家である、表千家、裏千家、武者小路千家で伝わっている帛紗捌きも、それぞれの流派で異なっています。

最後に小さな正方形になるのは同じですが、途中の手先の所作が異なり、どの流派のそれも趣き深いものです。

 

ちなみに表千家の帛紗捌きは、さらさらと淀みない所作で、裏千家の帛紗捌きはより緩急のついたメリハリのある所作が見られます。

点前中にお客様の注目を集める部分の所作ですので、しっかりお稽古して、きれいな帛紗捌きを身に着けたいですね。

 

 

帛紗のケア

最も多く使われる帛紗は使い帛紗で、毎回のお稽古で薄茶や濃茶のお点前を行う際に道具を清めるために必ず必要となり、使用頻度は大変高いものです。

また、点前の最後に抹茶のついた茶杓を拭き清めることをしますので、朱色の使い帛紗に抹茶の粉がついてしまい、かなり汚れがちです。

 

帛紗は洗うことをしませんので、常に清潔な帛紗をつかう工夫が必要です。お点前が終わったらすぐに柔らかいブラシで抹茶を落とすよう心がけましょう。

また、使わない時には帛紗ばさみにしまうよりも、購入した時に帛紗の入っていた正方形の箱などに入れて保管することをお薦めします。

 

 

まとめ

帛紗、それはたかが一枚の小さな布、されどそこには日本人の浄め、モノを大切にする心、おもてなしの心のルーツにつながる深い意味が込められています。

 

茶道の稽古を重ねていくと、そういうシンプルな何気ないところに茶道の精神が宿っていることに気が付くようになります。

そして、帛紗を扱うことによって、他の道具の扱い方も美しくなっていきます。

 

これから茶道を始める方も、お気に入りの帛紗を見つけて大切にしてくださいね。

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